日常に潜むノロウィルスの危機


食品工場やお店で使用している作業着は、どこで洗うべきでしょうか?
自宅に持って帰って各自で洗うのが一般的かもしれませんね。結論からいうと、クリーニングの専門業者で行うべきで、スタッフが持ち帰って自宅の洗濯機で洗うべきではないのです。

ノロウイルスの感染を防ぐには、いつも製造現場で行っているように、「衛生管理の徹底」しかありません。
漠然としているかもしれませんが、裏を返せば、効果的なノロウイルス対策は何もないのです。通常の衛生管理、特に個人単位での衛生管理レベルをあげるほかありません。それでは具体的に何に注意すれば良いのか、今日は意識向上のためのヒントを3つお伝えします。

(1)下痢、発熱の症状のある者は出勤しない(させない)

従業員の中で、「下痢や38度以上の発熱などの症状がある人は工場に出勤しない」と決めて、毎朝の確認を徹底します。
飲み会などでも、体調の事を考えて飲み食いするのが、食品を取り扱う者の常識だという意識を持ちましょう。睡眠不足などの体力の弱った方は、ウイルス感染に罹りやすくなります。日々、個人の体調管理をすることがもっとも大切な点なのです。
下痢に関しては自己申告しか術がありませんが、体温測定は簡単に耳などではかれますので、毎日の出社時のルーティンに加えます。

(2)作業着の洗濯は加熱工程がある方法で行う

過去の経験に照らし合わせてみると、「作業着は洗う」という企業が多かったように思います。
家庭では、下着と同じ洗濯機で作業着も洗うことになるでしょうから、家族の中にノロウイルスの感染者がいた場合は、洗濯中にノロウイルスが作業着に付着する恐れがあります。作業着だけでなく、前掛け・エプロンなども同様です。家庭で洗濯をする場合に有効なのは、塩素系の洗剤を使用して洗い、必ずアイロンをかけることです。アイロンをあてれば熱で殺菌されるからです。
ただしこれは、従業員一人一人に任せるということなので、各々の負担が増えてしまいます。 
いっそのこと、クリーニング業者に任せてしまってはどうでしょうか。少々コストはかかるかもしれませんが、熱殺菌を行ってくれるうえに、毎日清潔な作業着に袖を通せることになるんですよ。

(3)手洗い

ノロウィルス対策は手洗いに始まり、手洗いに終わると言っても過言ではありません。
トイレなどの後に、再度工場に入室するときの手洗いの確認が必要です。
手洗いの基本はまず手指の点検から入ります。指輪・時計・ブレスレットなどのアクセサリーを身につけていないこと、爪は短く手入れされていること、手荒れがないこと、これらを確認した上で、手洗いを実践します。
まず、手をぬらし、手洗い洗剤を付け細かい泡が立つまで30秒程度手で泡を立てます。洗剤をこする工程が30秒必要なのです。そのうえで、手首・肘まで洗っていきます。洗剤をこすっていると次第に、泡が細かくなってきてメレンゲ状になります。泡がこの細かい状態になって初めて、手指からウイルスを取り除く事ができるのです。
その後は、泡を水で流し、ペーパータオル・エアージェットなどで水を飛ばします。要注意なのが、エアージェットはフイルター内部など頻繁に清掃を行わないと、せっかく洗った手を汚染することがあり得るということです。ノロウイルスの流行の時期は、使い捨てのペーパータオルがお勧めです。製造現場によっては、この後で、アルコールを手指に噴霧することがあります。この場合は、水分を十分に取った手に、アルコールを噴霧し、手指にすり込むようになじませます。

最後に、万が一ノロウィルスに罹ってしまった場合の対処方法をお伝えします。
結論から言いますと、ノロウィルスに感染した時は、できるだけ早く病院に行って水分を十分に取って静養するしかありません。
ただしその一方で、家庭内での二次感染を防ぐ必要があります。
家庭にトイレが二つ以上ある家庭なら、下痢の症状のある人と他の人が使用するトイレを分けます。
嘔吐物などでシーツやタオルなどが汚れた場合は、洗濯機に入れる前に下洗いを行ってから、洗濯機に入れます。その際、通常の洗濯物とは別で洗濯を行います。脱水まで終わってから、塩素系の漂白剤を入れて再度洗濯をします。これが、家庭内感染を防ぐのに有効なのです。
便・嘔吐物などの処理は、使い捨ての手袋を着用して行います。もし手袋が無くても、ビニール袋に手を入れて直接手を触れないようにしましょう。
日頃から、ビニール袋・使い捨て手袋・ペーパータオル・塩素系洗剤などを準備しておくことが望ましいですね。

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