細菌をコントロールする

 食べるだけじゃなくて、ちゃんと知識も身に付けないといけませんよね。あなたの目の前にある食べ物は、どこからやって来て、どういう工程を経て今に至るのか。そこに考えを巡らすことは、とっても重要なことだと私は思います。今日は、「細菌のコントロール(制御)」について考えてみます。
 先に結論を言いますと、細菌は無くなりません。まずはそれを念頭においてください。
 細菌をコントロールすると言うことは、食品の賞味期限(消費期限、以下では賞味期限で統一)の設定につながる重要なポイントです。最終商品(完成品)の賞味期限を考えるとき、根拠となるのは細菌検査の結果だと思います。他には、理化学検査や官能検査などがあります。しかしながら、せっかく検査をしたとしても、設定した賞味期限よりも早く腐敗・変敗が始まってしまえば、商品クレームにつながってしまいますね。
 法律上では、賞味期限設定上の科学的根拠が必要とされています。ここでいう科学的根拠とは、細菌などが増殖して、その食品が食べることができなくなってしまうのをいかにして防いでいるかということです。そこで、重要になるのが「細菌のコントロール」なのです。そのためには、細菌検査などの結果ではなく、細菌が増えにくい配合・環境・包装形態などの科学的根拠が求められます。言い換えれば、細菌検査の結果を受けて、設定した賞味期限まで保つからと言って、安易に期限を設定することは出来ないということです。

 それでは、科学的根拠とは何なんでしょう?主な4つのポイントを取り上げてみます。

(1)細菌が少ない環境を造る 
包装している環境の細菌数を下げる事が有効です(落下菌の存在)。無菌室にする、天井を平らにする、吸気の空気を綺麗にする等の環境整備が必要です。

(2)細菌が増えにくい配合とする
細菌は、細菌自身が増殖するのに必要な栄養や水分がなければ増殖できません。細菌が増殖するのに必要な水分を少なくするために味を濃くする、砂糖を多くするなどのAw(水分活性)を下げる事が必要です。そのために、pHを管理する、制菌剤・保存料を入れるなどの方法があります。

(3)細菌が増えにくい包装形態にする
一般的な細菌は、酸素が少なくなると増殖しづらくなります。真空包装やガス置換包装などがあります。逆に言うと、ピンホールが原因による腐敗クレームが、まさにコレですね。

(4)細菌が増えにくい温度管理を行う
細菌は温度が低いほど増えにくくなります。室温が、10℃→8℃→5℃→0℃と、低くなるにつれて増殖しにくくなります。このほかにも、製品を放射線で殺菌する方法や、ガスや熱で殺菌するなどの方法もあります。

 お寿司であれば、寿司ネタは冷蔵庫で冷やしている→(4)、ご飯は酢でpHを下げている→(2)という具合に、それぞれに根拠立てて細菌をコントロールしていくことが肝要です。そうでないと、結果ばかりに目が行ってしまい(もちろんそれは大事ですが)、それに振り回されることになってしまいますよ。

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