クレーム対応・・・「表示」編


 食品事故と聞くと、一般的にはノロウィルスやO-157のような食中毒を思い浮かべると思います。世の中に与えるインパクト(影響度)が大きいので、ニュース等で何度も報道されるため、記憶に残りやすいですから。それって、実際のところどうなのかっていうと、2017年度のデータでは780件のうち26件(3.3%くらい)なので、案件数(発生頻度)としてはそう多くはないんですよ。

 じゃあ、他の事故って何なのか?それが本日のお題、「表示」に関わるクレーム。
 
 データを見てもらえばわかるとおり、「表示」に関わる事故がすごく多いですよね。年が変わろうとする、ちょうど今の時期考えられるのが、「賞味期限を<2019.06.30>とすべきところ、<2018.06.30>と印字してしまった』みたいなパターン。僕がベンダーマンだった頃を思い起こすと、製造メーカーは違えど、毎年のように起きていたミスですね。

 仮に、あなたが作った製品の一括表示の内容が間違っていた場合、どのように対応しますか。顧客から直接指摘があった場合はどうでしょう。顧客がスーパー・コンビニなどで商品を買った際に、一括表示等に疑問を抱くことがあります。コチニールのアレルゲン問題がそうであったように、一度報道されると、顧客の目がいつも以上に厳しくなります。
 観光スポットのお土産屋さんや、空港の売店などで販売されている商品の一括表示を一度ご覧になってみてください。大小かかわらず、多くのミスが見つかります。その多くは、一括表示の中の原材料表示が多い順に記載されていないことです。トレハロース、加工デンプンなどが原材料の扱いになったまま表示されていることも見かけます。あるいは、必ず使われているはずの添加物が表示されていないなどのミスも目立ちます。紅ショウガを使用しているのに、着色料表示が全く無いというのはオカシイですよね。

 商品を購入した顧客は、ミスを見つけたり疑問に思ったりした場合には、電話やメール・手紙などで連絡をしてきますね。表示のクレームに限らずですが、クレームの連絡を受けた時の第一声は、「ご連絡いただきありがとうございます」が好ましいです。
 一括表示の記載については、日本の法律の解釈は難しく、製造側と消費者の間で見解の異なる場合もありえます。その時も、一方的に「保健所の確認をもらっています」といった堅い返事を避け、まずは「貴重なご意見ありがとうございます。これからの表示の作成するときの参考にさせて頂きます」と言った対応が必要だと考えます。
 例えば、調査の結果、顧客から指摘された商品の表示に法律上の問題があったとします。その時のファーストアクションは、該当商品を製造している工場の管轄保健所に届け出てることをお勧めします。たしかに、誤表示は保健所の管轄ではないのですが、対応について相談にのってくれるはずです。こういった有事の際に、相談に乗ってもらうためにも、日常的に保健所の方とコミュニケーションをとっておくことも必要ですね。

 そしてこの時世、必ず想定しておかなければならないのは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。あなたが作った商品が「美味しかった」とブログ・Twitter・Facebook・Instagramなどで発信されたらどうされますか。きっと「いいね!」をすることでしょう。その反対に、「商品の一括表示が法律上間違えている」と発信されたらどうされますか。はたして、「営業妨害」と無視することはできるでしょうか。どちらの場合であっても、あなたが作った商品を実際に買われたお客さんの意見(意思表示)であることに変わりはありません。まずは「意見がでている」という事実に気づいてください。そのうえで、内容にネガティブなものが少しでも含まれているのなら、掘り下げて精査し、見解を示すことが大切です。
 一括表示の誤字・脱字などの場合は、すぐに商品を回収する必要は無いと考えます。しかし、消費者の身体に影響が出る(健康被害)ような可能性がある場合には商品の回収・告知などが必須になります。日頃から、社内体制をきちんと確認しておくべきでしょう。

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