帳票の目的


 あなたの工場や作業場には、帳票が何枚あるのか数えたことはありますか?事務所で使用している帳票もあるでしょうし、もちろん現場で使用している帳票もあるかと思います。あらためて、帳票は何のために存在し日々チェックしているのか、考えてみたいと思います。

 ということで、今日のお題は『帳票の目的』についてです。

 帳票をチェックする主な目的は、次の項目になると考えられます。
1. 品質確認のため
2. 歩留等の製造原価確認のため
3. 生産性の確認のため
4. 設備上の問題点把握のため
5. 現場従業員とのコミュニケーションのため 

 それでは、各項目について具体的に確認していきましょう。

≪1. 品質確認のため≫
 配合・加熱温度・冷却温度等の品質を確認し、記録します。帳票本来の使い方といって良いでしょう。確認の際は、異常値や管理幅を超えた測定値が出た場合に、どのように処置をしたのか・その処置は適切だったのか・異常ロットの識別は明確になっているか等が、ポイントになります。

≪2. 歩留等の製造原価確認のため≫
 これについては、1番よりも興味をもたれている経営者や現場責任者の方が多いと思われます。こちらの帳票の積み重ねが、製造コスト(利益)に直結しますので非常に大切な帳票となります。この大切なデータを、どう管理するかで現場の士気も変化します。
 「昨日は不良が多かったみたいだけど、どうしたの?」「包材がいつもより多く使ったみたいだけど、フイルムのロットでも変わったの?」のように、経営者自らが現場の従業員に声をかけられるようになるとベストですね。
 毎月の経理上の収支は、このような毎日の数字の積み重ねの結果です。日々、この帳票の数字を確認して対策を打つことが、工場を管理していくうえで非常に大切な事なのです。

≪3. 生産性確認のため≫
 この3番も収支に影響します。その日の製造計画(始業予定と終業予定)や、その計画にたいして結果どうだったのか、あるいは機械の調子がどうであったのかまで、記録できているとベストです。あの人とこの人がペアを組むと最も効率が良い(悪い)とか、機械の調子がどうなのかなど、ちょっとしたことで生産性は変わってしまうものです。

≪4. 設備上の問題点の把握のため≫
 食品工場は、規模が大きくなればなるほど、機械設備で動くことになります。とはいえ、包丁とまな板だけしかない製造現場であっても、帳票による管理は役に立ちます。使用している包丁は何時研いだのか、刃は欠けていないか、砥石の調子はどうかなど、包丁だけでも管理するポイントは、たくさん存在します。機械のオイルやパーツ交換、その他の定期メンテナンスの状況も確実に記録しておきたいです。

≪5. 従業員とのコミュニケーションについて≫
 雪印事件以来、現場の問題点をメール・FAX・手紙等で経営者や社長に直接伝える制度を設けた工場や会社も多いみたいですが、肝心なのは「コミュニケーション」であるということです。
 コミュニケーションはお互い話し合うことですから、なんでもかんでも社長に直接メールを送ってほしいといきなり言われても、送る側の従業員かなり勇気が要ります。私も新入社員の時に社長にメールをしたことがありますが、大した内容の文章でもないのに推敲に3日くらいかかってしまった記憶があります。
 仮に、勇気を振り絞ってメールを送っても返事がなかったのでは、「あ、そんなものかなぁ」と、がっかりしてしまいます。内容によっては、即答できかねるものもあるはずです。そんな時は受信した旨を返信してあげましょう。

 翻って、帳票の管理においても同じように考えると、現場の帳票に一言でも何か書いてあった場合は、必ずその帳票にコメントを付けて返すか、帳票を書いた従業員の顔を見たときに、直接話しかけることが大切です。

今一度、帳票は何のために付けているのか、その目的をしっかりと把握しておきたいですね。

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