サニテーションの取り組み方

 忘年会シーズンど真ん中の週末ということもあり、昨晩はどこのお店も人でいっぱいでした。夜9時過ぎのカフェでさえも満席・・・ご飯を食べるのは、「好きな時に好きな店で好きな人と。」をモットーにしている僕は、混んでいても何とも思いません。むしろ、週末の繁華街なんだからそうでなくっちゃと思いますよ。今日辺りから年賀状の投函ができるみたいで、ぼちぼち新しい年を迎える準備で慌ただしくなってくるんではないでしょうか。自宅の大掃除と同様に、工場内やキッチン厨房内の大掃除も欠かすことはできませんよね。

ということで、本日のお題「サニテーション」について、です。
サニテーションという言葉を聞いたことがありますか?
広い意味では、「衛生管理」を指します。取り扱う人々の健康状態を維持し、病気を引き起こすような有害な物質に汚染されないように管理することです。狭い意味では、特に食品の品質管理においては、殺菌作業や洗浄作業のことを指します。(ここでは、狭い意味の方で用いています)

 包丁とまな板、それとガスコンロだけで、食品工場を運営しているメーカーは少ないと思います。最低でも一台か二台の製造機械は、使用しているのではないでしょうか。
 その製造機械ですが、使用後の洗浄がとても大切です。「そんなこと、ちゃんとやっているよ」「今更なにを・・・」という声が聞こえてきそうですが、本当です?きちんとパーツごとに分解して殺菌洗浄していますか?記録は毎回残していますか?記録は毎日チェックしていますか?
 もちろん、分解せずに蒸気殺菌が可能な設備が理想ではありますが、電気設備の関係で蒸気殺菌ができない場合ってけっこうあるんですよね。この場合、基本的には分解できるところは全て分解して洗浄殺菌することになります。分解したパーツは、洗剤でキレイに洗って、加熱殺菌します。そして再び組み立てるまで、汚染されない場所で保管します。あわせて、洗浄・殺菌工程をきちんと記録しておきます。記録のポイントは、使用した洗剤の濃度・量、加熱殺菌の温度・費やした時間等です。

 ここまでやってホッと一息つきたいところですが、まだやらなければならないことがあるんですよ。それが「拭き取り検査」です。一般的には、機械の洗浄後もしくは使用開始前に実施します。拭き取り検査には、綿棒を使用します。一定の大きさを拭き取り、培地に直接塗って検査を行います。検査のやり方はいろいろありますが、大切なのは、地道に粘り強く定期的に行うことです。代表的な検査方法では、ATP(アデノシン三リン酸)を使用してタンパク質が残っていないかどうかを見分ける方法があります。従来のように菌を培養して測定するのとは違い、比較的短時間で判断がつきます。現在では、不特定多数の人が交差する場所(病院や公共施設)のドアノブや手すり・ベッド・スイッチなどを2次汚染のキーポイントと捉え、管理している施設が増えつつあります。
 拭き取り検査の際に気をつけなければならないのは、「動く部分は稼働させてから測定する」ということです。機械が動き始めると回転部分の洗浄が不十分だったために菌が出てくる場合があります。ハムのスライサーであれば、スライス前のハムとスライス後のハムの細菌検査を行って、両者の菌数を比較すればスライサーの汚染が明確になります。ですので、洗浄を充分に行っても数値が改善されない時には、可動部分を疑ってみてください。
 機械はシリンダーで動いていて、それはエアーもしくはオイルで稼働しています。たしかに、シリンダーの可動部分にはパッキンが入っているため、本来なら中に菌が侵入することはないのですが、長い時間使っている内にパッキンが摩耗して菌が侵入してしまう場合があります。そのために、対策としては定期的に新しいシリンダーに交換するのが有効です。
 検査をした結果、異常値がでると大きな問題になるからそれを避けたいがために、つい拭き取り方を軽くしてしまいがちですが、それでは本末転倒です。異常値をつかみやすくするためにも、できるだけブレのない方法で日々の数値を把握しておくべきです。

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