現場の悩みは、経営者の悩み?

 20年くらい前に、フジテレビの『踊る大捜査線』という刑事ドラマがありました。刑事モノなのにほとんど発砲シーンが出てこず、それよりむしろ、警察庁・警視庁の「本庁」と地域の警察署である「所轄」といった組織の対立を軸にした視点が斬新でした。
 主演の織田裕二が、『事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!』と叫んだシーンはあまりにも有名なので記憶に残っている方もいらっしゃるでしょう。このことは、警察組織に限ったことだけでなく、会社が大きくなればなるほど生じる問題なのだと思います。

 ということで、本日のお題は『現場と経営者の距離感』について、です。

 もし現場の都合で、製品の加熱温度や時間を知らないうちに変更されてしまっていたとしたら、責任者のあなたはすぐに気がつきますか。

 経営者の中には、現場の加熱温度・製造方法・問題点などを質問すると、「現場のことはすべて任せているから」と答える方が多いのも事実です。
 あなたの工場で製造している商品の一括表示について、ご自身で詳しく説明できますか。原材料は使用量が多い順に並んでいますか。添加物は使用量の多い順に並んでいますか。
 調味料(アミノ酸等)と表示しているアミノ酸等の「等」はどんな意味があるかご存知ですか。また、原材料に使用している酸化防止剤は、なぜ最終商品の表示に要らないのですか。

 「細かい事は部下に任せている」・・・もちろん組織の運営上、そうなるのかもしれません。しかし、把握したうえで任せるのと、何も知らずに任せるのでは全く内容が異なります。後者はいわゆる「丸投げ」です。

 とりわけ、今は食品表示法の施行により、一括表示の作成方法が変更されています。あなたの工場の表示は対応した状態になっていますか?
 仮に、添加物表示が間違えていた場合、製品を市場(しじょう)から回収しなくてはならなくなったとします。その際、回収の責任は誰にはあるのでしょうか。

 経営者の仕事は、24時間×365日中考えることだとよく言われます。

 一方で、ある売り上げまでは一生懸命夜も寝ずに働いていた方が、現場の事に関心がなくなるタイミングが出てくるそうです。製造現場も、売り先のお客様に対してもすべて一人で行ってきた方が、現場を見なくなってしまうのです。
 たしかに、現場には優秀な社員がいらっしゃるでしょう。日々の製造や営業活動は、彼らで充分間違いなく行う事ができるはずです。しかしながら、完全に意識から離れてしまってはなりません。

 現場で起きている問題点を誰よりもつかんでいるか。現場の問題点は何か。まず優先して投資すべきモノ(コト)は何であるか。現場の作業員の困っていること、悩んでいることは何か。経営者のあなたは常に把握しておくのが肝要なのです。

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