それ、そこに置いておいて大丈夫?


 食品工場(小規模の場合はキッチン)には、たくさんの原材料がストックされています。使用原材料がいたってシンプルな豆腐(主には大豆・にがり)にしても、アイテムごとに大豆の産地を変えているような場合には、ストックの数がそれだけ増えますね。油揚げもあるから、一斗缶サイズの油も必要になります。

 過去に訪問した食品工場の中に、原材料といっしょに自動車のタイヤが置かれていたことがありました。理由を聞いてみたところ、小休止の際の腰掛として使用しているとのこと。事情はわかったのですが、それがなぜ自動車のタイヤなの?って思ってしまいました(笑)・・・でも、笑ってばかりはいられないのです。なぜなら、タイヤからはゴムの匂いがするからです。原材料と同じ場所に置いてあると、匂いが移らないとも限りませんよね。消費者から「封を開けたらゴムの匂いがした」なんていうのが2,3件続いたら、全量回収ですよ。

 あなたの会社では、原材料の保管場所や管理方法にきちんとした根拠はありますか?
 ということで、今日のお題は「食品原材料の保管と管理」についてです。

 麺工場を例にして、考えてみましょう。あなたの麺工場では、うどんとそばは完全にラインが別で生産されていました。商品のパッケージにも「うどんは別のラインで製造していますので、安心してお召し上がりください」と表示して、そばアレルギーの方にも安心して食べて頂けるはずでした。
 ところが、そのうどんを食べた方から、そばのアレルギー症状が出てしまったのです。工場内の製造工程を再点検しても原因の特定に至らなかったため、納入時の配送車・中間倉庫・原料メーカーの保管庫と遡って確認を行っていきました。すると、小麦粉を保管している中間倉庫では、パレット毎に保管可能なラック方式を採用していました。
 さらに追及していくと、小麦粉の上にそば粉のパレットが保管されていて、そのそば粉にフォークリフトの爪がぶつかり、袋が破れ、下の小麦粉の袋の表面にそば粉がついてしまったケースが確認できたのです。

 考えすぎだと思いますか?いえいえ、事故はこういうようにして起こるのです。

 アレルゲンの管理が必要な食材は、破袋した場合に他の食材に影響が出ない場所に保管する必要があります。中間倉庫であっても同じことです。特に、粉体・液体の原材料は要注意です。

 また、食材を納品してくる配送車の管理も重要です。配送車内でそば粉が破袋すると、他の食材にアレルゲン物質が付着してしまいます。大切な点は、「アレルゲンを含む食材が破袋した時には、注意が必要である」ということをドライバー(ならびに運送会社も)がきちんと認識していることです。
 配送車の中で破袋した場合は、配送車の床・壁・天井だけでなく、冷蔵車などについている空調の室内機まで洗浄することが必要です。配送車の床や壁が木製で出来ている場合がありますが、洗浄出来るステンレス等の材質であることが必須です。納品の際、運送業者のトラックを今一度確認してみて、木製の場合は改善を求めましょう。

≪点検のポイント≫
1. アレルゲン毎の置き場所が明確になっているか
2. アレルゲン毎のパレット・台車の使用が決められているか
3. 中間倉庫ならびに配送車の監査を行っているか

 一つ一つ紐解いていくことで、結果的に品質は大幅に改善されます。

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