作業着とロッカー管理

 2018年6月に食衛生法の改正があったこともあり、食品製造業のオーナーや飲食店経営者の間では、「HACCP(ハサップ)」と言う言葉を見たり聞いたりする機会が増えてきたんじゃないでしょうか。
 そもそもの話をさせてもらうと、その目的をきちんと踏まえずに、認証をとるだけの取り組みになっていやしないか、経営者は事あるごとにチェックしなければなりません。本来の目的は、真にクレームの発生頻度や影響度を減らすための施策なんだから、業者や品質管理担当者に丸投げすればクリアできると思ったら大間違いですよ。要は、手段が自己目的化しちゃってるってことですよ。なんでダメかっていうと、結局はムダな投資になってしまうから。HACCPやISOに代表される、食品のマネジメントシステムは単なる「お墨付き」ではありません。導入前の下準備、その後の維持管理、そして定着と修正までやるから、「システム」なんですよ。認定証を発行してもらうのが、最終目標ではありません。現に、ハイレベルなシステムを導入していなくたって、基本に忠実にやっている製造現場だってあるのです。(もちろん、その逆もしかりなんですけど。)

 ということで、今日のお題は「毛髪混入」です。異物混入の中でも多いですよね。これを防ぐためには、まず、作業着とロッカーの管理を見直してみましょう。
 毛髪混入を防止するには、金属検出器のように、これさえ確実に行えば大丈夫という決め手はありません。ローラーをしっかりかける事で、ある程度の防止は図れますが、作業員一人一人の衛生管理と衛生意識が大切になってきます。工場に出勤する際に着ていた私服を入れるロッカーと、工場内で着る作業着の入ったロッカーが同じになっていないでしょうか。私服には様々な異物が付いていますよね。犬を飼っている家では、犬の毛が付いているかもしれません。自宅の絨毯の上に落ちていた髪の毛が付いているかもしれません。出し入れの際に、ロッカーの中で私服から作業着に異物が移ってしまう可能性だって否定できません。
 工場のロッカーには、「私服のみを入れる」と割り切ると、毛髪管理対策が一歩前進します。ということは、私服のロッカーとはまた別に、作業着を保管しておくロッカーが要るのでは・・・と思うかもしれませんね。そんなスペースはとてもじゃないけど、確保できないと。たしかに、ロッカーの台数が倍必要ですから、ロッカーの数を単純に増やすというのは現実的ではありませんよね。
 では、それならばいっそのこと、クリーニング業者に任せてしまってはどうでしょうか?毎日清潔な作業着を着用できますよね。なるほど、たしかにスマートだがコストがかかる・・・そうですね。それならば、作業着を毎日工場で洗濯するのはどうでしょう?スタッフの方の手間は少し増えるかもしれませんが、一元管理できますし、作業着を入れて置くためのロッカーは必要なくなりますよね。
 それに、作業着はサイズだけを管理して、誰でも着れるようにすれば良いのです。ホテルで備え付けられているパジャマや、サウナで着用する下着などはそうなっていますよね?そのように考えれば、抵抗感は無くなるのではないでしょうか。帽子に名前を付けていたり、役職を表す線を付けている工場もありますが、帽子も共通にして、名札を用いれば管理がずいぶん楽になるのではないでしょうか?
 作業着の管理は、個人ではなく、工場(会社)で一元的にやる。HACCPやISOがなくたって(それらを取得すべきでない、という意味ではありません)、今すぐに始められることですよね?一体何のためにやっているのか。それを見失わないことが肝要です。

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