食品工場で使う水の管理とは?


一昔前に、イザヤ・ベンダサンこと山本七平氏が自身の著『日本人とユダヤ人』の中で、「日本人は水と安全はタダだと思っている」という指摘をしていました。当時の私は学生時分だったので、たしかに蛇口を捻ったらきれいな水は出てくるし、毎日銃を突きつけ合って生活しているような環境ではないから平和な国なんだよなぁと感じていました。

でも、10数年経ってあらためて考えてみると、タダなんてとんでもない話だって思います。その維持管理に莫大なコストがかかっているわけですから。「きれいな水」も「犯罪のない社会」も、それなりの設備だったり環境があるからこそ、ですよね。。

日々の暮らしの中で、上下水道のことを意識することってあまりないのですが、雑菌だらけの水なんて想像するだけでゾッとします。食品工場で使用している水は、それ以上に管理されたものですし、またそうでなければなりません。

ということで、本日のお題は『食品工場における水の管理』について、です。

チェックのポイント
1. あるべき場所にフイルターが設置されているか
2. フイルターの確認を定期的に行っているか
3. 水の安全性を作業開始前に確認しているか

フィルター・マグネットの管理
地下水を使用している工場では、給水タンクから出るときに、浄化装置を設置しています。上水を使用している場合には、上水場で濾過を行っています。しかしながら、濾過できなかった異物、給水タンクや上水引き込みの配管内部の異物などが、水に混入する可能性があります。最新の工場になると、引き込み管自体をステンレス仕様にしている所もありますが、これはあくまでも配管から生じる異物に対してであって、水自体に含まれている異物を取り除くことはできません。

原料として使用する配合水、たれ・つゆ等に使用する水には、使用する直前に異物を除去するフイルターの設置が必須です。
その際、フイルターは最低200メッシュ以上のものを取り付けます。鉄が含まれている地下水を使用している場合は、マグネットを設置して取り除きます。私の実家ではつい5,6年前までは地下水だったのでわかるのですが、地下水には細かい砂鉄が多く含まれているんです。(風呂場のシャワーの出が悪いので分解してみたら、砂鉄だらけで目詰まりを起こしていたんです)

フイルターやマグネットは、最低一ヶ月に一回は、設置されているかの確認と除去された異物の確認を行い記録をつけます。以前、事前に提出してもらったチェック表を元に点検を行っていたところ、帳票上では設置してあるはずのフイルターが実際には無かったことがありました。
また、マグネットはぶつけると磁性が落ちてしまいますので丁寧に取り扱わなければなりませんし、磁力があるかどうかも点検時に確認することが必要です。

作業開始前の確認
原料として使用する水は、作業開始前に安全性を確認した後に、その旨を記録に残してから作業を開始します。安全性の確認では、残留塩素濃度・にごり・におい・味の確認を行い、記録を残します。
残留塩素は計測器がありますが、にごり・におい・味については、検査員の官能に頼るケースがほとんどでしょう。官能検査の場合は、検査員自身の校正が必要です。

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