食品の回収事故において、もっとも大きい割合を占めるのが「表示」に関する事故で、その中でもアレルゲンの不適切な表示が突出しています。(2017年度は19%でした)
私のベンダーマン時代にも、忘れた頃に別の商品で起こっていたように記憶しています。そういえば、アレルゲンの表記が抜けていたために、購入者に全件電話対応となったこともあります。会議室にこもって、休日返上で1件ずつ電話をしたのを覚えています。
原因を調べていると、原料規格書がバージョンアップされていないことが多々ありました。新商品ができたまでは良いのですが、規格書の更新が間に合っておらず、そのうえ杜撰なチェック体制だったために起こってしまいました。
ということで、今日のお題は『原料規格書の確認』について、です。
原料規格書を確認するうえでポイントは2つです。
それは、≪1.直近一年以内の物があるか≫、そして≪2.現物と合わせているか≫になります。
≪1.直近一年以内の物があるか≫
新商品の一括表示を作成する際に、必ず最新の原料規格をもとに作成しているでしょうか。作成した一括表示を確認する担当者は、最新の原料規格書をもとに確認しているでしょうか。
添加物をキャリーオーバーとして判断する際は、原材料に使用している添加物が、加熱等により効力がなくなる事を確認してから、行っていますか。
何年も前の原料規格書と最新のそれを比較すると、配合や原料に使用している添加物などが変更になっている場合があるので注意が必要です。
原料規格書には、原料の一括表示と現物の写真、それに使用している原料の産地・製造工程・異物の除去の仕組みなどを記載してもらう必要があります。
新規で使用する原料については、あらかじめ最新の物を取り寄せる事になるので良いのですが、以前から使用している原料については、毎年更新する月を決めて、最新の情報になるようにしておかなければなりません。情報を更新した場合には、昨年までの原料規格書と比較して、何がどう変更になったのかを明確に記載しておきます。
≪2.現物と合わせているか≫
原料規格書と実際に工場に入荷された現物の表示があっているか、その都度確認していますか。
原材料に関してだけでなく、フイルム等の包装資材にも同じことが言えます。使用している原料に含まれているアレルゲンがいつのまにか増えてしまっていて、最終商品のアレルゲン表示が異なっていたために、商品回収になったケースが数多くあります。
アレルギーショックが起こると、最悪の場合、人が死に至ります。「いつのまにか、仕入れている原料が変わってしまっていました・・・」という言い訳は通用しないでしょう。
原料規格書と実際に入荷された原料・包装資材が合っているか、定期的な確認を行わなければなりません。特に、包装資材にバーコードが印刷されている場合には、目で見ただけでは正しいかどうかの判断がつきません。
作ってから間違ってましたでは大きなロスになってしまいますので、包装資材が入荷されたタイミングで、その都度バーコードリーダーを使用して確認します。
入荷時の点検をスムーズに行うために、包装資材メーカーに協力を要請します。フイルムを一枚分外箱に貼って納品してもらうことで、段ボールを開封することなくバーコードの確認が出来るようになります。
「そんなミスなどあり得ない」から「ミスは起きるもの」と、考え方自体を変える必要があります。
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