日欧EPA


 有名俳優の逮捕やら死体遺棄事件やらで、すっかり鳴りをひそめてしまったのですが、本日2/1から『EPA』が発効になりました。
 EPAとは「青魚によく含まれていて脳梗塞や動脈硬化なんかを予防する成分」のこと、ではないですよ。たしかに、そっちの意味(エイコサペンタエン酸)もありますけど、今回は「経済連携協定」の方です。

 自由貿易協定(FTA)の柱である関税撤廃や非関税障壁の引き下げなどに加えて、締約国間での経済取引の円滑化、経済制度の調和、およびサービス・投資・電子商取引などのさまざまな経済領域での連携強化・協力の促進などまで一括りにした条約のことです。要するに、経済上の同盟ってことですね。
 あぁトランプさんがアメリカは参加しないよ!って言ってたやつ?いやいや、それは『TPP』のことですよ。略語がたくさん出てきてるんで、参考がてら少し整理してみますね。

 そもそも国際的な貿易ルールを決めるために、『WTO(世界貿易機関)』という一番大きな組織があります。そこで決めてしまえば良いのですが、ゾウさんのように大きい組織だから、動きもゆ~っくりなんですよね。しかも、加盟国161の国・地域の全会一致が原則。161の国と地域があったら、全員から承認をもらうなんて、ものすごくハードルが高い作業です。実際、先進国と途上国で対立してしまって、2001年から交渉が停滞してしまっているんです。

 そんな雰囲気なんで、組みたい国(地域)だけ組んでやろうよって話になった。とりあえず二国間の交渉でやろう、それが『FTA(自由貿易協定)』で、関税の撤廃や削減が主な内容です。いやいや、関税だけじゃもったいない。せっかくだから、投資ルールや知的財産の保護、電子商取引なんかの環境も整備しようよっていうのが、『EPA(経済連携協定)』です。実はシンガポールは、2002年の時点ですでに日本との間でEPAが締結されているんですよね~。世界全体でみると、271のEPAが存在するんですって(笑)興味本位で全部見てみたい気もするけど、めちゃくちゃ数が多いなぁ。。

 そう、結果的にそうなるんですよね。こうなってくると、二国間ってやりやすいけど、効率悪くね?そだねーって話になってくる。じゃあ、比較的近くの地域でまとまって交渉しようよっていうね。そのひとつが、『TPP(環太平洋パートナーシップ)』です。太平洋を囲む12か国が参加しています。他にも、アメリカ-EU間の『TTIP(環大西洋貿易投資連携協定)』、東アジアを一括りにした『RCEP(東アジア地域包括的経済連携)』などがあります。今回の『日欧EPA』は、この仲間に入りますね。東アジアの中では、『日中韓FTA』も同時並行しているみたいで、ここまでくると何が何だかですね~。

 メリットは多分にあって、我々消費者からすれば、欧州産のワインなどの食料品を安く買えるようになります。ワインの輸入関税は2/1時点で即時撤廃なので、すぐにそのメリットが享受できそうですね。750mlのワインで最大約94円安くなるんだそう。日本から出ていく輸出品の関税も下がるから、企業にとっては追い風ですよね。EUは今、日本の自動車に8%の関税をかけているんだけど、8年目にはゼロになる。日本酒の関税は即時撤廃で、焼酎の容量規制もなくなる。ますますビジネスチャンスが広がりますね。

 でも実はこれって、昨年延期されるはずだったんですよね。去年7月に安倍さんがベルギーに行って調印する予定だったのが、西日本豪雨の対策支援があるからという理由でキャンセルになったです。普通ならそれで先送りになるんでしょうけど、トゥスクさん(EU大統領)が、それなら私が日本に行くからそこで調印しましょうって話になって、今に至ると。まぁEUとしてもこの機会を逃したくはなかったんでしょうね。

 まだ発効されたばかりなので、即時撤廃されるものもあれば、段階的に調整されていくものもあります。10年後20年後が楽しみですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA