満開に咲いた桜を見上げて、とってもきれいだなぁと思うようになったのは、京都の「哲学の道」に行ってからだと思います。
 それまでは、桜を見ても何の思いも抱きませんでした。僕の脳内は「桜=春」という認識でしかなく、ややもすれば「あと1ヶ月もすれば毛虫がたくさん出てくるんだよな・・・はぁ」という斜に構えた視点でしか見ることができませんでした。これはもう一種の中二病のようなものです。

 僕が社会人になったのは2006年でした。4/1の入社式を終えるや否や、そこから2ヶ月間は研修の毎日で、東京と大阪を行ったり来たりを繰り返していました。まだ何も始まってもないくせに、その段階ですでにクタクタだったのを覚えています。

 1週目と2週目は大阪でずっとビジネスホテル暮らしでした。平日はみっちり研修があって、ホテルに帰ったらグッタリ。外にでる気もしませんでした。同じホテルに同期が何人か泊まっていたけど、人見知りのせいもあって、いっしょに遊びに行くとかは皆無でした。

 初めての週末を迎えて、気分が高揚したのも束の間、困ったことが起きました。週末の休みをどう過ごしたら良いのか、まったくもってわからないのです。3月までは文字どおり丸1日ゲームをして過ごすという、まるで廃人のような生活を送っていたのは今は昔のこと。パソコンもなければゲームソフトもない。あるのは、着替えの入ったスーツケースと携帯(当時はガラケー)のみでしたから。

 途方にくれた僕の脳内をよぎった言葉は、「そうだ、京都行こう。」でした。すぐに宿泊先近くにあった本屋さんへ行って観光案内を買いました。大学時代に哲学が好きだった僕にぴったりの『哲学の道』という場所を見つけ、そこに向かったのです。

 たしかに、すごい人で混雑していたのは記憶にありますが、それ以上に疏水沿いに咲き誇る桜の木々ときたら・・・圧巻でした。パァーンと音がでて弾けたように咲いた桜の花は、お見事!としか言いようがありませんでした。桜ってこんなにきれいなものなんだと感じた瞬間でした。今からもう13年前の話です。

≪識別ポイント≫ 日本を代表する花木
≪名前の由来≫  咲耶(さくや)、咲麗(さきうら)などからの転訛説があります
≪花ことば≫   壮大な美しさ
≪特徴≫
サクラの種類は非常に多く、花色・花形・樹形・分布地域など、それぞれに特徴があります。代表種のソメイヨシノを筆頭に、一重咲のヤマザクラ、寒さに強いオオヤマザクラ、開花期が早いカワヅザクラ(河津桜)、緋色の花が美しいカンヒザクラ(寒緋桜)、枝が垂れ下がるシダレザクラ(枝垂桜)、高地に生育するタカネザクラ(高根桜)など、たくさんあります。

 何気ない日常の暮らしの中でふと目にした花を見て、「きれい」とか「愛らしい」とか感じるって、とても大事なことなんじゃないかと思います。
 僕は亥年生まれのせいもあってか、猪突猛進なところがあります。でも、脇目をふりながら寄り道をするイノシシでありたいのです。置いて行かれてもいいですよ。だって、その方が楽しいから。
 ではまた!

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